お客様のファン化を促進する上で、一人ひとりのお客様に対する「公平なサービス」の実現をより具体的に推し進めるために、、、2008年ごろから私のクライアントサロンにおいて、お客様の区別(会員化)に取り組み、結果、ゆるぎない確かなダントツ繁盛サロンへと導く強力な原動力となりました。
これまで、全国各地での講演・セミナーや著書を通して、その成果を広くお伝えしてきました。が、ここで改めて、その具体的なノウハウと実践術をご紹介したいと思います。
お客様の区別
「お客様の区別」は、お客様のファン化を促進し、繁盛を実現する上で最も重要な取り組みです。
では、どうしてお客様を区別しなければいけないのか!?
その理由と具体的な根拠を詳しく説明したいと思います。
たとえば、過去1年間、あなたのサロンを利用されたすべてのお客様を、支払額の多い順に並べたとします。
では、上位20%のお客様で、あなたのサロンにどれくらいの売上げをもたらしているかお分かりですか?
答えは、、、
ズバリ!年商の50%です。
20%の優良顧客が売上げ全体の80%をもたらすという「パレートの法則」。。。美容サロンの現場では実際にどうなのか?という疑問から、さまざまなクライアントサロンのデータを分析した結果、美容室では、20%の優良顧客が売上げ全体の50%をもたらしていることが分かりました。
ではここで、驚愕のデータをお見せしましょう。
もちろん例外はありますが、一般の美容室の場合、ほぼこの数字に当てはまります。
上位5%のお客様で、売上げ全体の20%。そしてその下の15%で30%ですから・・・
上位2割のお客様でサロンの売上げ全体の5割を占めているということです。
そしてその下の30%のお客様で売上げ全体の30%、その下の50%で20%、と。
ですから、上位のわずかなお客様が、あなたのサロンに多大な売上げをもたらしていることがお分かりいただけると思います。
さらにこれを、具体的な数字に落とし込んだらどうなるか。。。
たとえば1,000人のお客様で、年商が5,000万のサロンだとすると、
【上位5%のお客様】→ 50人で1,000万円
【その下15%のお客様】→ 150人で1,500万円
【その下30%のお客様】→ 300人で1,500万円
【その下50%のお客様】 → 500人で1,000万円
ということになります。
では続けて、それぞれの一人当たりの平均支払額を見てみましょう。
【上位5%のお客様】→ 1,000万円÷50人=20万円
【その下15%のお客様】→ 1,500万円÷150人=10万円
【その下30%のお客様】→ 1,500万円÷300人=5万円
【その下50%のお客様】→ 1,000万円÷500人=2万円
このように数字で見ると分かりやすいのですが、上位5%のお客様というのは下位50%のお客様の10倍ものお金を使っていただいているということ。
また、お客様の2人に1人は、売上げにほとんど貢献していないことがお分かりいただけると思います。
サロン現場では「1人失客した」と普通に言いますが、どの階層のお客様なのかによって、ずいぶん売上げに差が出るのです。
上位5%のお客様1人の失客は、下位50%のお客様10人分に値する。
先の例でいうと、Aのお客様が1人失客すると、年商は一気に20万円のダウン。
生涯価値で考えると、数百万という儲けが一瞬にして消えてなくなるのです。
これで、上位5%のお客様と下位50%のお客様・・・
同じおもてなしではダメ!ということがお分かりですよね。
ですから、どんなお客様にも平等に最高のサービスを!なんてやっていたらサロンは絶対に儲かりません。
もちろん、下位のお客様は粗末にしていい、と言っているわけではありません。
今まで通り、精一杯喜ばせてください。
重要なことは、上位のお客様には下位のお客様の何倍もの喜びをもたらすこと。
そして感謝することです。
優良顧客を優遇するのは当たり前。
考えてみてください。。。
世の中、どんなビジネスにおいても、何か商品を100個注文する会社と1個しか注文しない会社では、取引き単価が全く違うハズです。
つまり、優良顧客ほど多くの「値引き」をしているのです。
あなた自身も、さまざまな消費活動のなかで、このような体験を数多くされているのではないでしょうか!?
では、上位の階層のお客様に喜んでもらうためにはどうすればいいのか?
非常に重要なことを言いますね。
ストレートに言うと、、、
それは値引きです。
これまで口酸っぱく、値引きはダメ!とさまざまな機会の中でお伝えしてきましたが、ここだけは値引きをしなければなりません。
ところが多くのサロン現場では、その値引きを、しなければいけない人にぜず、したらダメな人にしているのが実状です。
たとえば、新規のお客様には30%の値引きで集客をして、次回は20%OFF、その次は10%OFFの割引きチケットで再来店を促す、などといった感じで。。。
つまりお客様は、利用すればするほど条件が悪くなる、損をする。
こんなバカげた話はありませんよね。
全く逆なんです!!
私が提案しているのは、お客様が利用すればするほど得する仕組み。
お客様の支払額が上がれば上がるほど、サービスを手厚くする。
あなたの感謝レベルを上げなければいけません。
ハッキリ言います!
お客様のランクに応じたサービスを実行しなければ、優良顧客から順に失客していきます。
いつまで経ってもファン化は進まず、経営は安定しません。
サロンの繁盛など実現できるわけがないのです。
ですから、今すぐ経営の仕組みそのものを一から見直しましょう。
お客様を会員化しよう
空港に行くと、飛行機を利用する際、プレミアム会員やゴールド会員は誰よりも先に搭乗できる。
受付カウンターもラウンジの利用も、マイレージも、、、一般の人とは区別した優良顧客としての特別なサービスを提供しています。
以前、私は空港で、航空会社のスタッフにお聞きしたことがあります。
「どうしたら、そういう特別な会員になれるのですか?」と。
すると、東京-大阪間の往復を、週2回から3回くらいの頻度で1年間利用しないと、VIP会員にはなれないとのことでした。
つまり、たくさんお金を使うと特別扱いします。。。ということ。
支払額に応じて、徹底した「お客様の区別」がなされていますね。
このように、あなたのサロンにおいても、ご利用状況に応じた「お客様の会員化」をおすすめします。
この場合、会員化の基準になるのは、支払額。
つまり「お金」です。
また、会員化を実施するにあたって、このようなご質問をよくいただきます。
「あまりお金は使われていないんですが、よく来られるお客様はどうなるんですか?」と。
その答えは、お金です!と。。。
会員化の基準になるのは、来店頻度ではありません。
お客様と仲がいいかどうかでもありません。
あくまでも、お客様の支払額に応じたランク分けを行ってください。
ある美容室で、先に述べた割合に沿って「お客様の会員化」に取り組みました。
上位5%がプレミアム会員、その下15%がゴールド会員、そしてその下30%がシルバー会員で、残り50%がレギュラー会員です。
そしてそれぞれの特典は、プレミアム会員はすべての技術料金が20%OFF、ゴールド会員は15%OFF、そしてシルバー会員が10%OFFで、レギュラー会員はゼロ。
常時こんなに値引きをすれば、売上げが下がってしまうのでは?と、不安に思われるかも知れませんが、実は今まで以上に売上げは上がります。
もう少し詳しくお話ししましょう。
会員化する前、まずはこのサロンの過去1年間の値引き額だけでいったいどれくらいあるのか!?を算出しました。
すると、、、
2店舗で700万円。
集客時の値引きを始め、施術してから何日以内に再来してもらえれば○○%OFFとか、季節ごとのさまざまなキャンペーン値引きなど、いろいろありました。
それが、、、
会員化後のシュミレーションでは、なんと500万円に!!
つまり、会員システムを導入した場合としない場合とでは、なんと利益に200万円もの差が生じることが分かったのです。
それだけではありません。
実際に取り組んでいるすべてのサロンにおいて、上位顧客ほど値引きをすればするほどそれ以上にお金を使う。
逆に、下位の顧客への値引きは、すればするほど自らの首を絞めるというのが実状なのです。
ですから、値引きすべきは優良顧客!
サロンに多くのお金を使ってくれているお客様なのですから、きちんと還元すべきです。
お客様との関係性を無視したムダな値引きを改めることで、効果的な経費配分と同時に大きな利益が獲得できるのです。
重要なので、もう少しお話ししておきます。
たとえば、あなたが誰かに何かをしてもらったとしましょう。
すると、それ相当のお返しをするでしょ。
だから良好な人間関係が継続できるのです。
・・・お分かりですよね。
それ相当のお返しをしながら、スムーズに人間関係を育んでいく。
きっとあなたも、自然にやっているハズです。
サロンでも同じです。
お客様のご利用状況に応じたお返しをしなければなりません。
すべてにおいて一律な平等のサービスでは、上位顧客はモノ足りません。
また逆に、下位顧客にとっては過剰です。
そしてこのようなサービスをいくら強化したとしても、お客様にとってもサロンにとっても有益な成果は生まれません。
ぜひ、「お客様の区別(ランク分け)」に取り組み、あなたのサロンに合った「お客様の会員化」を実現させましょう。
お客様に応じたさまざまなサービス
私のクライアントサロンでは、上位のお客様から順に、プラチナ会員、ゴールド会員、、、などとランク分けをし、カード類も見てスグに分かるように色やデザインなどを変えています。
そしてランクに応じて、さまざまなサービスに違いを設けています。
会員のランクは、支払額に応じて毎年変わります。
これは、先に述べた航空会社などでも同じですね。
ですから、去年プラチナ会員だったけれど、今年は支払額がその基準に届かずゴールド会員に変わる、というのはあり得ることです。
ただし、その詳細については、事前に必ずお客様一人ひとりにきちんとお伝えしておきましょう。
では、私のクライアントサロンで実施しているお客様のランクに応じたサービスについて、その事例のいくつかをご紹介しておきます。
お客様のランクに応じて、割引き率やポイント還元率の違いはもちろんのこと、ほかにも・・・
*VIP客と他とでは、使用するクロスやタオルが違います。
*VIP客と他とでは、座るイスが違います。
*VIP客と他とでは、使用するワゴンが違います。
*VIP客と他とでは、誕生日プレゼントの内容が違います。
*VIP客と他とでは、年賀状やクリスマスカード、DMにいたるまで、紙の材質が違います。
*VIP客には、無料でハンドマッサージをしています。
*VIP客には、ご購入いただいた店販商品を無料で宅配しています。
・・・などなど。
このような事例をあげればキリがありませんが、あくまでも優良顧客ほど優遇することです。
ぜひ、ご参考にしていただき、あなたのサロン独自のサービスを考えましょう。
これまでも繰り返しお話ししてきましたが、サロンの繁盛を実現するためには「お客様のファン化」を促進することです。
お客様一人ひとりとの公平なお付き合いを通して、より深く、そして末永い関係づくりが求められているのです。
お客様に“繰り返し”“たくさん”購買してもらう(=ライフタイムバリューの最大化を実現する)。
そのためには、、、
あなたのサロンを利用すればするほど、お客様が喜ぶ、お客様がどんどん得する仕組みの構築が必要なのです。
追伸、
お客様の区別(会員化)の導入については、さまざまな準備や注意点があります。
最大限に成果を上げるための取り組みについて、ご不明な点などお気軽にご相談ください。
なお、単に、会員化すれば儲かる、といった類の話ではありませんので、予め充分ご理解ください。